Encantoよかったねほんとよかった

速報:生きてます。

==以下、ネタバレあり感想=========

Encanto (邦題:ミラベルと魔法だらけの家)みてきました!
めちゃくちゃ良かったです。
素直に、「私はずっとこんな作品を待っていたんだ!」と感じた。
味のあるキャラクター、素晴らしい音楽、美しい映像、淀みのないシナリオ。
これだ、これが映画を見る喜びなのだ!!

この作品の出来は、ここ10年のディズニースタジオ作品でもかなり良かったモアナと競うと思った。
いや、もしかしたらモアナを超えているかもしれない・・・。それくらいに良かった。
近年のディズニー、ピクサーを含めてもほぼダントツレベルの作品性の高さだったと思う。

さて、この作品は懐が深い、見た人に色々な印象を与えるだろう。
すでに先に作品を見ていた夫と話していて思ったのだが、つまり
「人によっていろいろな印象を持つ」=「芯となるテーマが弱い」とも言えてしまうのかもしれない。
なのでここからは、私が見て、私が感じたEncantoを感想として書き記したい。

①Encantoのメインテーマはなんだったのか。
私はこう思った。
「人間性の復興(ヒューマニズムの再興)」
つまり、魔法からの脱却、人間の持つ力への回帰を説いている。
これだとおもう。

魔法とは、人ならざる力のことである。
魔法に言葉は必要なく、人知を超えた力で人の問題も悩みも簡単に解決していく。
魔法は強力で、それを使いこなすのもとても簡単(Easy)だ。
翻って人間の力とは何か、それは言葉であり、感情であり、人の持つ思いそのものである。
人間の力は地道な努力が必要だ、人と人の対話の積み重ねなんだ。それを使うには多大な根気と労力が要るものだ。

私はこう思った。
なぜミラベルだけに魔法が与えられなかったのか、それは彼女はもう、魔法を超えた人の力=対話の力や思いの力を持っていたからなのだ。
魔法は問題を解決をしない。人と人の対話だけが問題を解決していく。
異なる人生を抱えた人間ふたりが、対話によって理解し合っていく。
これこそが人間性(ヒューマニティー)なのである。
Encantoは魔法に頼らない人間性の復興(ヒューマニズムの再興)を深く問いかける。
私が感じたテーマはこれだったな。

②Encantoはこれまでのディズニースタジオの歴史の集大成
実は、Encantoは「完璧なアナ雪1」だったことに気づいちゃって私の心が泣いた。
私自身はFrozenの大ファンですけれども、どう考えてもFrozen1のシナリオは酷かった、としか言いようがない。。
Frozenのラストシーンで、アナとエルサが対話を行わず、抱擁と「愛よ!(Love)」の一言で互いへの理解を完結させてしまったこと。
Frozen2でそれはまぁまぁ昇華させられたとは言え、私はぶっちゃけあんま納得してなかった。
そのへんの反省と修正がEncantoで見られたこと、これにはちょっと驚いてしまった。
そうだ、そうなんだよ、人と人の理解は抱擁では済まないんだ。そこに必要なのはいつだって言葉を通じた対話なんだ・・・。
私はEncantoの中に、完璧じゃなかったFrozenへの反省を垣間見た。
このスタジオは反省と修正ができる、それを感じられらたことはファンとしてとてもありがたいことだった。

この辺の「対話のシーンの重要性」は、実はズートピアのニックとジュディの対話のシーンにも見られたものだ。
ニックとジュディのシーンをもっともっと良く、深くブラッシュアップしたのがEncantoなんだよね。
他にも、これまでのディズニー映画の様々なエッセンスが含まれていた。
ディズニーだけじゃなく、トイストーリーのエッセンスとかも結構感じたし。
過去作の良いところはさらにブラッシュアップして取り入れて、悪いところ、イマイチなところはちゃんと省かれていた。
そう思うとEnchantoは、今までのディズニー映画、ピクサーも含めて、本当に集大成と呼んでいい作品なんだよね。
Encantoは急に現れたのではなく、長い長いディズニーの歴史の上に成り立っている。
ちゃんと、私が見守り続けてきたものすべての上に、この作品が立ち上がり、このように完成したのだ。
そう感じられたことが、ディズニーの1ファンとしてめちゃくちゃに嬉しかった!!

Encantoは白雪姫から数えてディズニースタジオの60作目の節目らしい。
本当に60作品目の歴史に残る、記念碑のような作品になったと思う。
そしてまた、ここから100作を目指していくのだと、希望を持たせてくれる作品だった!
こんなにありがたい作品、そうそうないですよ!!

③映画ってバランスなんだなって痛感した
いい映画ってなんだろ・・・
人類が百万回考えてきたことだよね・・・

冒頭でちょっと書いたんだけど、私が思うに映画って
・味のあるキャラクター
・素晴らしい音楽(ミュージカルの場合)
・美しい映像
・淀みのないシナリオ
結局、人類があと数百万年生き伸びたとしても、映画がこの四本柱で評価されるのは変わらないんじゃないかなって思った。
そして評点はどれが一個二個が突出してよくてもだめで、やっぱ平均点式なんじゃないかなってことが言いたいんだよね。
総合点じゃなくて、平均点で感じるんだよ。

私はアナ雪の大ファンだけど、キャラクターが5/5としても、シナリオがまじでだめで2/5くらいなんだよね・・・
Frozen
キャラクター5/5 音楽5/5 映像4/5 シナリオ2/5

でもEncantoはバランスが良かった!
Encanto
キャラクター4/5 音楽4/5 映像4/5 シナリオ4/5
どれも満点じゃなくても、満足できるレベルを超えていた。そしてダメなものがなかった。

やっぱ映画ってバランスなんだよ、どれかがめちゃくちゃ良くても、なにかが欠けてたらだめなんだよなぁ;

そしてこれは意外だったんだけど、リンマニュエルがやるから音楽めっちゃ期待してたんだよね。
でも「音楽だけが突出して良いということはなかった」
Encantoの真の驚きはこれだった・・・
ほら、みんな心配したんじゃないの、音楽だけめちゃくちゃ良くて、シナリオがクソだったらどうしよう、って・・・
でも音楽ももちろん良かったけど、それ以外も満足点を超えていて、音楽だけがやけに印象に残る、ということはなかったよね。
まさかと思うけど、リンマニュエルちゃんとその辺も考えて作曲してるのかな・・・
バランスが音楽だけに振り切れてる、ってことがなかったのがすごいわ。

というわけでEncanto感想でした!

蛇足:
①Encantoのメインテーマはなんだったのかで書いたとおり、この作品のテーマが「人間性の復興(ヒューマニズムの再興)」だとしたら、最後にカシータに魔法性が戻ってきたらあんま意味ないと思う、という意見はその通りだと思うんだよね。
私もまぁ、最後まで人間性で修復して欲しい気もしたけど、まぁそこらへんはディズニー映画なので、「魔法のおうちの方がたのしいやん」くらいに私は考えてます。
だっておうち、喋ったり動いたりした方がたのしいやん? 以上