私を形作ったものたち@2019/5/8wed 11:30のPA


https://www.tokyodisneyresort.jp/tdl/shop/detail/518/

プロムナードギフト イーストが知らぬ間に閉店していたらしい。まじか。
このお店には私も並々ならぬ想いがあった。
いつか、宇宙の不思議な因果が私の肉体と魂とを形作った訳ですが、プロムナードギフトもまた私の一部でした、という話。
今日はそんな話をしたいと思う。

もう何十年も前の話だけど、家族で東京ディズニーランドにインパした幼い日の帰り、私は必ずプロムナードギフトに寄りたがったのでした。
重い足取りで薄暗いゲートをくぐると、右手には明るい光。
帰りたくない一心で、お母さんあそこ見てきていい?と母に聞くと母はいつも、いいわよ、と言った。
だめよ、もう今日は遅いのだし帰りましょう、なんて言ったことは一度もなかった。
小走りにプロムナードギフトへ。
右から左へ、また左から右へ。
ぐるっと一周か二周して、ついにはそこから立ち去らなければいけない時は悲しさで心がいっぱいだったのを思い出す。
プロムナードギフトは私と東京ディズニーランドをつなぐ最後の絆だったのでした。

それが私の人格形成に深い影響を与えたことに気づいたのは、思春期もとっくに過ぎた頃でした。
私は、楽しかった一日の終わりに私は必ずもうひとつショップに寄りたがるようになっていた。
別に寄るところはどこでもよかった。それは駅の近くのファンシーショップだったり、小さな売店だったり。
20を超えて酒を飲むのを覚えてからは、一軒飲んだ後あとに必ずもう一軒飲み直したがった。それか、飲んだ後にコーヒーかケーキを求めたり。
面白いのは、私がその行動を発現するのは、必ず「楽しかった一日の終わり」なのでした。
いつのまにか人生にプロムナードギフト現象が表れていた。
それは終わらないパーティーの象徴。

39歳になった今もその習慣は私に引き継がれていて、夫は私のそんな行動をあの日の母のように見守ってくれている。
帰る前にもう一軒寄りたがる私を、彼は止めたりはしない。
いつも、行っておいで、と送り出してくれる。
でも多分夫は、なんでこの女はこんなに家に帰りたがらないのだろう、とは思っているだろう。

人間って面白いし謎すぎる。
私は今、絶賛子育て中な訳だけど、自分の子供もふとした人生の出会いで家に帰りたがらない人間になったりするのだろうか?
それとも逆に、すぐに家に帰りたがる人間になったりするのだろうか?
人生の何がどう作用するのかは、完全に不思議の領域だ。
私とプロムナードギフトの出会いが偶然だったように。
でもきっと死ぬその日まで私はあと一軒寄りたがる女のままだ。
それはあの日、あのプロムナードギフトとの出会いにより確定してしまったのだった。

さらば、プロムナードギフト。
一人の女の人生に深くあなたが作用したことをここに捧げ、別れの言葉としたい。