【フォトコラム】世界のパートナーズ像をたどって

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突然ですが、ディズニーファンの皆さんに聞いてみたいことがあります。 ディズニーランドを象徴する一番有名なアイコンは何?と聞かれたら、皆さん頭の中には何を思い浮かべられますでしょうか? やはり一番多いのはお城、お国柄もあってシンデレラ城を思い出される方が多いのかなと思いますが、トップスリーにはこれを思い浮かべられる方も多いのではないかなと思います。それがパートナーズ像(Partners)、右手を掲げたウォルトとミッキーマウスが手をつなぐ、あのあまりにも有名なブロンズ像です。

今日のフォトコラムではこのパートナーズ像にスポットを当て、世界中に散らばるパートナーズ像を追いかけてみたいと思います。世界各地を周りますよ。

インデックス
【1】世界の5つのパートナーズ像
【2】世界のちょっと珍しい?あんなパートナーズ像こんなパートナーズ像
【3】ウォルトのネクタイの秘密 〜おわりに


【1】世界の5つのパートナーズ像

さて、この記事を書いている2016年2月現在、世界には合計5つのパートナーズ像が存在します。この5つを設置された順に追ってみることにしましょう。

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まず一つ目です。オリジナルのパートナーズ像。このパートナーズ像は、イマジニアであり、アニメーターでもある彫刻家、ブレイン ギブソン氏によって製作されました。彼はディズニーレジェンドの称号も持っています。この、世界で初めてのパートナーズ像は、1993年11月18日にディズニーランドに設置されました。日付からピンとくる方も多いでしょう。ミッキーマウス生誕65周年を記念して落成式が行われたそうです。

ディズニーランドのオープン日は 1955年7月17日ですから、開園当初からここにパートナーズ像があったという訳ではないのですね。個人的には、この眠れる森の美女の城(Sleeping Beauty Castle)を背景にしたパートナーズ像のイメージがあまりにも強いので、実際パートナーズ像が設置されたのは開園から何十年も経った後だったということが感覚的にどうもしっくりきません。昔を知るパーク大家(たいか)にとってみたら「あぁ、あの最近設置されたアレ、ね。」なんてことになるんでしょうか?

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ディズニーランドのパートナーズ像台座に刻まれた言葉です。勝手和訳ですが、記してみたいと思います。

“PARTNERS”

“I THINK MOST OF ALL  WHAT I WANT DISNEYLAND TO BE IS A HAPPY PLACE… WHERE PARENTS AND CHILDREN CAN HAVE FUN, TOGETHER.”  Walt Disney

ディズニーランドを親と子供達が共に楽しむことのできる幸福な場所にすること、それが私の望みのほとんど全てなのだと思う。 ウォルトディズニー

ウォルトのディズニーランド開園スピーチも思い出される、美しい言葉ですね。今なおここに息づくウォルトの想いに、目が潤んでしまいそうになる私です。

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ディズニーランドのパートナーズ像を向かって左、ウォルト側からのぞみます。オービトロン(Orbitron)を背景にすると、時を超えて未来に進んで行く二人のイメージが強まります。

私も今回この記事を書くにあたって再勉強のつもりであれこれ調べていたのですが、Wikipediaによるとこのパートナーズ像、実際のウォルトの身長とは若干違うらしいのです。 “The statue stands 6’5″ tall, while in reality Walt Disney was actually 5’10” tall.”  スタチューは6フィート5インチ(約198㎝)製ですが、実際のウォルトディズニーの身長は5フィート1oインチ(約178㎝)だったそうです。ちょっと大きめのつくりになっているんですね。銅像ですので実際の大きさをそっくり真似る必要はもちろんありませんが、これは知りませんでした。

さて雑学はこの辺で、次のパートナーズ像へ向かってみましょう。


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1995年6月19日、世界に二番目のパートナーズ像が設置されました。それがウォルトディズニーワールド、マジックキングダム(Magic Kingdom)のパートナーズ像です。ディズニーランドバージョンとマジックキングダムバージョン、見比べてみるとだいぶ色が違うのに気付かれませんか? 特にミッキーがツートーンになっているところの違いが顕著ですね。ディズニーランドのは全身がブロンズの鈍い黒色に覆われていますが、マジックキングダムの方はミッキーの顔やズボン、グローブに靴と、色のポイントポイントがより明るいブロンズ色になっています。わざわざ磨いているのか、はたまた元から金属の配合などを変えて色の違いを出しているのか。詳しいことは私にはわかりませんが、両者を見比べるとやはり「何か」を変えているんだなと思います。

ちなみに台座に描かれている文言も、ディズニーランドととてもよく似てるのですが少し違います。

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“Partners”

“We believe in our idea: a family park where parents and children could have fun — together.” Walt Disney

私たちは私たちのこの考えを信じている。(マジックキングダムを)親と子供達が共に楽しむことのできる家族のパークにすること。 ウォルトディズニー

ここでもう一度、ディズニーランドバージョンのを読み返してみると・・・

“I THINK MOST OF ALL  WHAT I WANT DISNEYLAND TO BE IS A HAPPY PLACE… WHERE PARENTS AND CHILDREN CAN HAVE FUN, TOGETHER.”  Walt Disney

ディズニーランドを親と子供達が共に楽しむことのできる幸福な場所にすること、それが私の望みのほとんど全てなのだと思う。 ウォルトディズニー

面白いですね〜 言わんとすることはほぼ同じなんですが、ディズニーランド版が一人称が I (ウォルト自身が、ウォルトの言葉として語っている)であるのに対して、マジックキングダム版は 一人称が We(私たち)に変わり、ウォルトのみならずマジックキングダムを形作っている全てのキャストたちや作り手の言葉としても受け取れます。これは、ディズニーランドがウォルト生前の完成であることに対して、マジックキングダムの完成はウォルトの没後であったことなども関係しているのでしょうか。すみません、これは憶測です。詳しい文献などあたってみますね。

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アナハイムでウォルト側から望んでみましたので、オーランドではミッキー側から見てみましょう。配置的にはこちらの方がミッキーの全身が見えていい感じですね。ウォルトが軽く右足を踏み出しているのとは逆に、ミッキーは左足を前に突き出しています。並ぶ二人のバランスが何とも良いですね。


続いて三番目のパートナーズ像は、我らが東京ディズニーランドにあります。

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1998年4月15日に東京ディズニーランドの 開園15周年を記念して設置されました。どうでしょうか、色はまた、ディズニーランドともマジックキングダムとも違っているように見えます。これは写真の写り具合もあるんですが、実際にはとても柔らかい濃茶のように見えます。私はどちらかというと「ブロンズ」と聞けばこの色を真っ先に思い浮かべます。パートナーズ像の優しい雰囲気にぴったりの綺麗な色だと感じます。

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東京ディズニーランド、パートナーズ像台座 左英語部分、つづいて右日本語部分を記します。

“PARTNERS” Walt Disney & Mickey Mouse
In Celebration of 15 Years of Sharing Happiness, Wonder, and Inspiration, the Cast of THE WALT DISNEY COMPANY presents this gift to TOKYO DISNEYLAND in Friendship and Appreciation

April 15, 1998

“パートナーズ” ウォルト・ディズニー&ミッキーマウス
この15 周年を記念して 喜びと驚き、そして感動をともに分かち合ったザ・ウォルト・ディズニー・カンパニーのキャストより東京ディズニーランドへ 友情と感謝の気持ちを込めてお贈りします。
1998年4月15日

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手前のプレートは開園時のものですね。パートナーズ像とは関係がないのですが資料として掲出します。

しかし設置されたのが1998年といえば結構最近(?)のことなんですが、残念ながらもう、TDLにパートナーズ像がなかった頃の風景が思い出せない私です。学生時代に見たはずなんですが、とんと思い出せない上、せいぜいバケーションパッケージの席がなかった頃の風景くらいしか、もうすっかり思い出すことができません笑(バケパ席の設置なんて、これはもうかなり最近のことですけどね・・・)


さて、急ぎ足に東京を駆け抜けて、続く四つ目のパートナーズ像はかなり特別です。

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それがこの、アメリカはカリフォルニア、バーバンクにあるザ ウォルトディズニースタジオ(The Walt Disney Studios)の社内広場に設置されたパートナーズ像です。この像は2001年12月5日、ウォルトディズニー生誕100周年を記念して設置されました。

世界の他のパートナーズ像は誰でも等しく見るチャンスがあるのに対して、これはスタジオの社員と、社員に招かれたゲストしか見ることができません。一般人の立ち入りは通常禁止です。私はこの場所に、2014年4月に開催されたD23メンバーズ向けの特別ツアーで訪れました。社員に直接招かれたゲスト以外にも、時折開催されるこういったイベントやツアーなどに申し込むことで、一般人にもここを訪問するチャンスがあります。

さて、このWDSのパートナーズ像は、チームディズニーと呼ばれる建物の前に広がる、ディズニーレジェンズプラザの中ほどに設置されています。ディズニーレジェンズプラザはその名の通り、これまでディズニーレジェンド(ディズニーの文化に貢献された方に対して贈られる賞です)を受賞された方を讃えるための広場です。上の画像の背景に、正方形のブロンズパネルが並んでいるのを見ていただけるかと思いますが、この一つ一つにディズニーレジェンドの手形、名前、受賞日などが刻まれています。

そんな場所で、ディズニーレジェンド達を見守るウォルトとミッキー。パークと違いここはただの「会社」であるため、BGMなどの音もなければ、ざわざわとした人混みも一切ありません。私たちがいつもパークで見慣れているパートナーズ像も、ただひっそりと、しかしとても厳かな雰囲気の中に鎮座しています。

下の画像は台座の写真です。一番上にはウォルト生誕100周年のロゴマークが刻印されています。画像不繊細ですが、文章を書き出してみることにしましょう。勝手和訳のため、おおよその意味だけ汲み取っていただければと思います。

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“Walt Disney once said, “We should never forget that it was all started by a mouse.” But we at The Walt Disney Company know it was all started by a man. He was born 100 years ago today, but his legacy as a storyteller and entertainer lives on… it urges us all to continue to work… to make the magic fresh and new… for young and old, for generations to come.”

Michael D. Eisner Roy E. Disney December 5, 2001

ウォルトディズニーはかつて言いました「私たちはそれが全て一匹のねずみから始まったことを忘れてはならない」 しかし私たち、ザ ウォルトディズニーカンパニーは「全ては一人の男から始まったこと」を知っています。彼は今から100年前の今日、生まれ、しかし彼の遺したストーリーテラーとエンターテイナーとしての意志は今も生き続けています。そしてその意志は、老いも若きも全ての世代に新しい魔法をかけ続けるという私たちの仕事へと、今なお駆り立ててくれるのです。

マイケルアイズナー ロイ E ディズニー 2001年12月5日

各パークの台座に書いてある文言とはだいぶ毛色が違います。まず、各パークの文言はゲストに向けて書かれているのに対して、この文言はストーリーテラー、そしてエンターテイナーであり続けようと決意するディズニーの社員に対して発せられていることがわかります。この文章を読んでから改めてこのパートナーズ像を見つめてみると、同じ像なのに不思議と見え方が変わってくるような気がしてなりません。彼ら、日々このスタジオで働くディズニースタジオの社員たちは、このウォルトをどのような気持ちで日々見つめ、仕事にあたっているでしょうか。ディズニーにとってただのいちゲストでしかない私には、それは想像もできないことです。

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さらに像に寄った写真です。ちょっとした違和感を感じませんか? いつも私たちが見慣れているパークに設置されたパートナーズ像は、どこも大人の肩ほどもある背の高い台座の上に設置されているため、近くで見るとかなり見上げた格好になってしまうんです。突き出されたウォルトの右手が天を仰がずに、ほぼウォルトの肩、水平方向に前を向いているのがお分かりいただけますでしょうか。

そして像を見ていると自分の目線がウォルトとしっかり合うことに気付きます。これはWDSのパートナーズ像はほぼ地上レベルに設置されているため、像を見る人と像の目線の高さが一緒になるんですね。パークで見るパートナーズ像は、高い台座の上に設置されているため、ウォルトはどこか遠くを見つめているように感じられます。かなり遠目から見ない限り、ゲストと目線が合うことはありません。しかし上の写真を見ると、他のパートナーズ像では感じることのできないウォルトの優しい視線のようなものを感じます。

また通常、パークでは像の周りには花壇や柵が敷かれ、像に直接触れることはできません。しかしWDSのパートナーズ像だけはウォルトとミッキーのすぐ隣に立ち、さらには像に軽く手を触れた状態でも記念撮影することが可能です。私は、普段は触ることのできないミッキーの頭を撫でてきましたよ。

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ともかく、このように特別なパートナーズ像を私も一目見ることができて、今思い返しても嬉しかった出来事だったなぁと思います。ミッキーマウスがとても小さく感じられたのも、意外な発見でしたね。いつもはミッキー、高いところに立っていますので大きく見えますが、地上レベルだと身長164センチの私の胸元あたりがミッキーの耳の先っぽ、お顔のあたりはちょうど私のお腹くらいのものでしたので身長1メートルくらいの感じだったかな。ちなみにミッキーの公式身長サイズについては、諸説あるようですのでここでの言及はやめておきます。 まぁだいたい、リアルサイズのミッキーです、ということでふんわりごまかしておきたいと思いますね。


最後のパートナーズ像はフランスにあります。2016年2月現在、現存する5つのパートナーズ像のうち最後、五番目に設置されたのはディズニーランドパリの第二パーク、ウォルトディズニースタジオパークのパートナーズ像です。

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こちらは2002年3月16日ウォルトディズニースタジオパーク開園当時から設置されていました。これまでのパートナーズ像は全て、パーク(及び会社)開園後、何らかの記念などのタイミングで途中追加されたのに対して、このパークで初めて、パークオープン時からずっと変わらずにこの場所に立ち続けているパートナーズ像がお目見えしたということになります。

パリのウォルトディズニースタジオパークは映画をテーマにしたパークです。パートナーズ像はエントランスからフロントロット(Flont Lot)(ディズニーランド型パークでいうところのメインストリートU.S.A.)を抜けた所に設置されています。これまで記載したように、他の3つのパークは全てディズニーランド型のテーマパークであったため、パートナーズ像は必ずお城の前に設置されていました。しかしウォルトディズニースタジオパークにはそもそもお城が存在しません。このためこのパークでだけはお城の代わりに、ハリウッドを模した町並みを背景にしたパートナーズ像を見ることができるのです。

上の写真は2011年に撮影したものです。クリスマス時期だったためか、夜になるとパートナーズ像を取り囲んだ星型のライティングがピカピカと輝いていました。他のパークではこのような派手な装飾はあまり見かけませんね。設置されているのが城前だとお城との風景の対比もありますので、あまり華美なデコレーションができないなどの理由もあるのだと思います。

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少し角度を変えて、撮影日時も違うこちらは2014年に撮影したものです。奥の方には、かの有名なHOLLYWOODサインがよく見えます。(ただしこのサイン、実は単なる書き割りです)その手前の町並みの風景は、チャイニーズシアターがあるハリウッドの目抜き通りをモチーフに作られています。ディズニーとも縁の深いエルキャピタンの看板も左手後方に見えますね。映画からその歴史を歩み出したウォルトとミッキーですから、ハリウッドのこの雰囲気、城前の雰囲気と同じくらいパートナーズ像に似合っているのではないかと私は感じます。

以上、世界の五つのパートナーズ像を巡ってみました。どれも元は同じ物で、どうやって鋳造しているのかどこで作られたのか等詳しいことはわかりませんが、物の寸法などは全く変わらないはずです。ですがブロンズの色味が違ったり、また置かれている場所や背景が違うだけでもまた違った印象を受けるのが面白いですね。

さて、ここからはさらに、ちょっとした遊びも加えて記事を書きすすめてみることにしましょう。


【2】世界のちょっと珍しい?あんなパートナーズ像こんなパートナーズ像

これまで記事内に記載した世界の4つのテーマパークの地、アナハイム、オーランド、東京、そしてパリ。何かひとつ足りないような気がしませんか? そう、香港です。
残念ながら、現時点(上海ディズニーランドオープン前における現在は2016年3月上旬です)世界中のディズニーテーマパークスの中で、香港ディズニーランドだけにはパートナーズ像は設置されていません。しかしある日見つけてしまったのです。それは香港ディズニーランドホテル、ウォルツカフェ(Walt’s Cafe)の中にありました。
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店内入り口、入ってすぐの左手の壁の上です。

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パートナーズ像、と表現してしまいましたが、実際にはただの模型です。大きさ20センチほどでしょうか。模型とはいえこれを発見した時には、もうないと思っていたものをふいに見つけたような喜びがありました。ぜひ皆さん、ウォルツカフェにご来店の際には、HKDLにないはずのパートナーズ像、ただしミニサイズをチェックしてくださいね。


こちらも香港ネタです。2014年の春頃、香港はサムサーチョイ(尖沙咀)のザ ワン(The One)というショッピングモールで、ディズニー90周年のイベントをやっていました。(イベント名は単に「ディズニー90周年」と称されていましたが、ここでいう「ディズニー」はウォルト本人ではなくウォルトディズニーカンパニーのことを指していました)

イベントは割にこじんまりしていましたが、アーティストによるフィギュアやイラストの展示、物販、香港の有名人も来たりもしたんですよ。そしてその時の展示の一部として、実物大のパートナーズ像のフィギュアも公開されていました。・・・が!

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これ見てください。ちょっと酷すぎると思いませんか。

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ウォルトとは似ても似つかない、これじゃただのおっさんです笑 もちろんこれは本物のパートナーズ像を元には作っていません。画像か何かを見て模した、ただのプラスチック(だと思います)の模型です。

それにしてもこれを見たときは膝から崩れ落ちる気持ちでした。前述の通り、香港ディズニーランドにはパートナーズ像がありませんので、香港の人たちがこれが本物のパートナーズ像と思ってしまったらどうしよう!なんて、いらぬ心配をしたものです。


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こちらは東京ディズニーランドネタです。2007年のイベント、リロ&スティッチのフリフリ大騒動ではパートナーズ像にこんなデコレーションが施されました。なんとウォルトとミッキーがハワイアンスタイルに! モレ(ハワイの腰みの)にレイまで下げてて、仰天しました。 当時見たときは、これ、本当にいいのかなぁ、ちゃんと許可取ってるのかしらなんて、またまたいらぬ心配をしたものです。可愛いですけどね。ここまでの派手なデコレーションは滅多に見かけませんね〜 きっとスティッチだから許されたのでしょう。

こちらの写真は、お友達のKさまからご提供頂きました。あまりにびっくりして、写真を撮るのを忘れていました。それくらいのインパクトがありましたね。(Kさんありがとうございます!)


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お次の写真もTDLから、しかし南国から一気に北国の趣きの一枚です。2013年1月某日、東京を襲った豪雪に、全身を雪で覆われてしまったパートナーズ像がゲストの前に現れました。ウォルトもミッキーも真っ白です! 自然現象ですのでこればかりは狙って見ようとしても見れない、数年に一度だけ現れる珍しいパートナーズ像の姿となりました。


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所変わってアメリカのディズニーランドです。2015年2月頃、キャッスルにリハブがかかり、全体に目隠しの幕がかけられました。通常このような目隠し用の幕は、目隠しする元の建物の写真を加工し、元とそっくりの風景を作り上げるのが普通です。しかしこの時は、幕にはハーバード ライマン氏(Herbert Ryman)による眠れる森の美女の城(Sleeping Beauty Castle)のコンセプトアートが描かれました。ディズニーランドは、元のお城をそっくり真似るのではなく、さらに時を遡ってコンセプトアートを出してくるという粋な演出を行ったのです。

ディズニーランドに初めて登場したこの珍しいお城の風景は、当時ファンの間でもちょっとした話題にもなりましたよ。そんな世にも珍しい、絵のお城を背にしたパートナーズ像がこちらです。


【3】ウォルトのネクタイの秘密 〜おわりに

最後はパートナーズ像に隠された、ウォルトのちょっとしたお話です。ここから先はかなりマニアックな話題になりますので特にウォルトファンの方、ご興味あればご覧ください。

東京も含め、世界のパートナーズ像をじっくり見ていると、ウォルトのネクタイに何か小さな模様がついていることに気がつきます。 場所によっては完全にブロンズ色に同化してしまい、気付くことさえ難しいのですが、下の画像をご覧ください。マジックキングダムの像がツートーン仕様で見えやすかったので、こちらを元に模様を詳しく書き起こしてみました。ウォルトのネクタイに文字のようなマークが入っているのが見えますでしょうか?

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一見、漢字の「東」や「兎」にも見えるような不思議なデザインです。海外のディズニーファンの中には「すわ!秘密結社のマークでは!?」などと盛り上がっている人もいましたが、いえいえこちらは単純にアルファベットの S T R の三文字を組み合わせて作ったロゴなんですよ。ロゴを分解したところも書いてみました。Tの文字の下にすっぽりとSとRが隠れています。

このSTRは、Smoke Tree Ranch スモークツリーランチの頭文字です。アメリカはカリフォルニア、パームスプリングスの砂漠の土地だそうですが、そこにスモークツリーランチはあります。アナハイムからかなり東に行ったところですね。ランチは何棟ものコテージから成り立っており、かつてウォルトはそのうちの一部を別荘として持っていました。そしてかなりその土地を愛していたようですね。しかしその後、ウォルトはディズニーランド建設の資金調達のためにスモークツリーランチのコテージは売却せざるをえなくなってしまいました。後年、同じ場所に別のコテージを買い戻しているようですが、ここから先の詳しいことは英語文献ばかりで私にはどうも難解です。ご興味ある方、調べてみてください。

ともかく、どうしてウォルトが毎日使うネクタイという、男性にとってはごく身近なアイテムの柄にスモークツリーランチのロゴを入れたのか。わざわざ自前のネクタイに刺繍を入れさせたのか、ランチで買ってきたのか、そこはわかりませんが、相当この土地に思い入れがあっただろうことには間違いがありません。

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2016年現在、スモークツリーランチは現存しており営業もしています。ただし、経営面などはディズニーとは一切無関係です。ウォルトディズニーに謂れがある、というだけです。

現在のスモークツリーランチは、各コテージをホテルとして提供し、周りには牧場や競馬場などもあり乗馬などのアクティビティが楽しめるそうです。メインロッジにはレストランやスパも併設され、結婚式まで挙げられるようです。(この結婚式はある意味、FTWとは違った「ウォルトが愛したもう一つの場所でのウェディング」ですよね! 難易度マックスの限りなく”通”な結婚式、ウォルトファンの方ぜひチャレンジしてみてくれませんか笑) ランチの中には、ウォルトディズニーホールというウォルトの名前を冠した会場スペースもあるそうですよ。本当にウォルト縁故の土地なんですね〜

上の画像はスモークツリーランチのウェブサイトのスクリーンショットです。サイトにもウォルトのネクタイと同じロゴがトップページにあしらわれています。右側の写真はランチ入り口の看板でしょうか。同じくロゴが彫られているのがよくわかりますね。

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ちなみに、2013年の映画、ウォルトディズニーの約束(Saving Mr. Banks)でトムハンクス演じるウォルトがこのネクタイを着用していますよ。映画の中でウォルトは数種類のネクタイを付け替えますが、ザ ウォルトディズニースタジオでパメラ トラバースとウォルトが初めて対面するシーンや、その後ふたりがディズニーランドを訪れるシーンなど、ストーリーの要となるシーンで着用しているのはこのスモークツリーランチの刺繍入りネクタイです。上の写真ですとネクタイの色が潰れてしまって黒く見えますが、実際の映像では深い濃紺に白い刺繍を施してあるように見えます。なるほど、濃紺に白ですか!(ブロンズ像では色まではわかりませんからね!)

ザ ウォルトディズニースタジオ自らがこの映画を作ったからには、スモークツリーランチのロゴ刺繍入りのネクタイをウォルトはある時期に愛用していた。さらにその事実を元に後年、パートナーズ像は作られた。この解釈がディズニー公式によって支持されたとみて良いかと思います。


最後はかなり難易度の高い話になってしまいましたが、世界のパートナーズ像をたどる物語はこれでおしまいです。

締めくくりは東京ディズニーランドから、TDL30周年当時のパートナーズ像の写真を貼って終わりにしたいと思います。 ウォルトディズニーとミッキーマウス、いつまでも私の好きなパーク達をそこから見守っていてくださいね。

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(参考:ウィキペディア Partners (statue) https://en.wikipedia.org/wiki/Partners_(statue))
(引用:Saving Mr. Banks (2013)DVDの画面を撮影)
(協力:写真提供 TDL リロ&スティッチのフリフリ大騒動、パートナーズ像写真 Kさま ご提供ありがとうございました!)
(協力:撮影協力 TDL パートナーズ像写真 Mさま 協力ありがとうございました!)

(このページに公開されている内容は、2006年から2016年にかけて収集した情報の再編集となります。2016年3月8日 記事公開)

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